外来棟を増築しました

外来棟増築工事が終了し、11月4日から運用を開始します。これまでの工事期間中、外科外来を受診された方および入院中の患者さんには騒音でご迷惑をおかけしました。お詫び申し上げます。

さて、増築された建物ですが、1階はがん化学療法センターと新型インフルエンザ等特別な感染症に対応する外来診察室、2階は健診センターと一部は医局、看護部長室などの管理部門となっています。

がんは最近では慢性病の一つとして捉えられており、もちろん治る可能性のあるものに対しては入院の上徹底的な治療が行われますが、治癒を望むことが難しい場合には、患者さんのQOL(生きることの質)を維持しながら病勢のコントロールを図る、というのが一般的な考え方です。
がんの治療は手術、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)が主体です。近藤 誠氏のようにがんの治療は無意味で放置すべきという論を唱える人もいますが、ここではその真偽は置いておきます。少なくとも私はがんの治療の有用性を認識しています。
最近の抗がん剤の進歩は著しく、かつては有害事象ばかり目立って効果を疑わざるを得ないものが多かったのですが、分子標的薬を中心とする今の抗がん剤は違います。もちろん副作用はないわけではありませんが、以前よりはずっと有用性を増しています。
白血病や悪性リンパ腫などの造血器腫瘍は抗がん剤治療により治る可能性があります。しかし残念ながら多くの固形がん(胃がん、大腸がん、肺がんなど)は抗がん剤だけで治すことは困難です(それ故早期発見が重要ということになります)。しかし延命効果はあります。ただしどこかで抗がん剤が効かなくなる時期がありますので、どこまで治療を続けるのか、その見極めが大切です。効果がないのに抗がん剤治療を続けることは、体力を奪ってQOLを低下させ、寿命を縮めることになります。抗がん剤治療はそのやめ時が重要なのです。

これまでは抗がん剤治療を行うためには入院が必要と考えられていましたが、副作用対策の進歩もあって、外来でも十分可能となりました。また先述したようにがんは慢性病と考えられ、治療も長期にわたることが多いので、できるだけ日常生活を維持しながら治療を継続することが求められるようになりました。今では大勢の方が外来で抗がん剤治療を受けておられます。
当院でも以前から内科、外科、泌尿器科の各科それぞれで外来化学療法が行われて来ましたが、必ずしもいい治療環境であったとは言えず、患者さんにはご迷惑をおかけしておりました。今回各科別々であった外来化学療法を一か所にまとめ、ゆったりした環境で治療を受けていただくべく、化学療法センターを増築いたしました。専従の看護師を配置して、患者さんの様々なご相談にも対応したいと思っております。

2階には健診センターを配置しました。これまでは受診者の皆様に病院の検査部門をあちこち動いていただかなくてはならず、またきちんとした更衣室もない状況で、ご迷惑をおかけしておりましたが、今後は内視鏡検査以外の検査はセンター内で実施することができるようになります。
受け入れ能力の問題で、当院の人間ドックを希望される方全てのご要望にはお応えできないのですが、今後はできる限り一日の受診者数を増やせるよう、努力をして参りたいと思います。

健診については前にも申し上げたことがありますが、是非目的意識を持って受けていただきたいと思います。すなわち、自分の健康の維持・管理に役立てて下さい。高血圧、糖尿病などのいわゆる生活習慣病は、あなた自身の努力によりコントロールが可能です。受けっぱなしはダメです。健診の結果をどう活用するか、それが大事です。また一つ一つの数字に一喜一憂することはやめましょう。極端な異常値については精密検査が必要になりますが、正常範囲から少しずれた程度なら、経過をみることで十分です。もちろん気になるようであれば、別に医療機関を受診して医師にご相談下さい。大切なのは毎年健診を受けて、異常とされた結果の経過をみることです。私達人間はロボットとは異なります。検査の数値は変動するのが当たり前なのです。その変動が正常範囲のものなのかあるいは異常なのかは、医師が判断することになります。
それともう一つ、これも前に述べたことがありますが、自分は大丈夫と思って健診を受けたら異常を指摘された、そんなはずはない、と動揺される方がいます。たとえば便潜血検査で陽性となり、大腸がんの可能性があるので精査を受けて下さいという通知を受け取り、頭が真っ白。大腸の内視鏡検査を受けるにも予約が何か月も先と言われて、心配で心配で…。結局は痔だったことが判明しても、ストレスで体調を崩してしまった、などということがないわけではありません。何もないことを健診で確かめたいという気持ちもわからないわけではありませんが、生涯病気にはならないという人はそうはいません。いつか自分も病気になるかもしれない、健診はそれを早くみつけるため、という思い(あるいは覚悟?)で受けていただければ、と思います。

当院の名称を「刈羽郡総合病院」から「柏崎総合医療センター」に変更した理由の一つは、将来は消化器病センター、循環器病センター等を設置し、既存の糖尿病センターも含め、各種疾病に対する診療の充実を図りたい、それぞれのセンターを集約したものが「総合医療センター」、という思いからだったのですが、今回の化学療法センターと健診センターも、その構想の中に位置付けられるものです。
今後も市民の皆様の健康を守るために、職員一同心を合わせて努力して参りたいと思います。

 平成27年10月29日
病院長 藤原正博

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