7対1看護基準を取得します

前から申し上げているように、医療は「人と人」、いい医療を提供するためには「人」が必要です。しかし当院は仕事の内容に比し、医師、看護師、薬剤師などのスタッフが不足しています。少ない中でなんとかいい医療を提供しようとみんなが頑張っているのですが、行き届かない部分があり、皆さんにはご迷惑をおかけしているかもしれません。お詫び申し上げます。

柏崎刈羽地域の基幹病院として、それに相応しい体制を整えたいと厚生連本部と協議を重ねて来たのですが、これまでは厚生連全体の人手不足のため、なかなか実現できないままでした。
ここにきて漸く厚生連の他病院からの応援を得て、看護体制だけは7対1看護基準を取得することができるようになりました。医師、薬剤師については不足のままです。
7対1看護というのは、単純に言うと、1日24時間を平均して患者さん7人に対して看護師1名が勤務しているということです。たとえば50床の病棟の場合、最低でも7人の看護師が日勤で必要になります。そして24時間3交替制なので、7×3=21名の看護師が必要です。さらに休暇をとる人がいたり、病欠だったりする人もいますので、実際にはもっと多くの看護師が必要になります。

今まで当院は10対1という看護基準でしたが、それを7対1にするためには国が指定する様々な条件をクリアしなければなりません。7対1看護基準に相応しい業務内容であることを、国に示さなければならないのです。
人が増えれば当然人件費も増えます。病院の収入はほとんどを診療報酬に依存していますので、増えた分は診療報酬の増額で補填してもらわなければなりません。実際10対1よりも7対1の方が診療報酬は高く設定されています。医療費削減に躍起となっている国は、できれば7対1の病院は減らしたいと思っており、認定条件を厳しく設定しているのです。
そんな中で当院はこの2月から看護師を増員して7対1の体制をとり、その実績をもって3月から国の認可を受けたいと考えております。これで漸く実際の業務量に見合った人員を配置できそうです。

ただ国の意向は、7対1の看護基準をとるのであれば、急性期病院としての使命をきちんと果たしなさいよということなので、急性期治療を終えて退院が可能となった場合には、速やかに退院していただく必要があります。7対1看護基準取得の条件の一つに、「平均在院日数18日以内」というのがあるからです。この4月の診療報酬改定により、さらに短縮される可能性もあります。かつてのように「病院でのんびり」とはいかない時代なのです。もともと国は「在宅」を推進していますので、7対1に付けられた条件もその流れの中でのものということになります。

病院に入院すると、特に高齢者の場合はどうしてもベッド上で寝て過ごす時間が長くなり、筋力が低下します。病気はよくなって退院OKなんだけれど、歩けなくなってしまった、ということがしばしばあります。そのために入院が長引くことになります。私は患者さんには寝ていないで歩くようはっぱをかけています。優しくないな、とご不満の方もいらっしゃるかもしれませんが、筋力を落とさず家に帰るためには、とても大事なことなのです。もちろん安静が必要な場合は別です。
病院は生活の場ではありません。病気が良くなったら自宅に戻るのが一番!
しかしみんながみんな歩いて自宅に帰れるわけではなく、慢性期病院に移ったり、施設に入所したりする方もおられます。ところが現状では病院を退院したあとの療養の場の整備が十分とは言えず、それをどうしていくかが喫緊の課題です。
都会であれば急性期病院と療養のための病院をはっきり分けることも可能かもしれませんが、柏崎を含め地方の病院においては、クリアカットに分けることが難しいのが実情です。そのため、必要な治療は終了したにもかかわらず、入院を続けざるを得ない場合もあります。核家族化が進んだ現代では、自宅で家族がめんどうをみるというのも容易なことではありません。施設に入所するにしても、すぐには入所先が見つからないのが現状です。

高齢者にとっては生きづらい時代、と言ったら言い過ぎでしょうか。いかに財政上の問題があるとはいえ、これまでの日本の経済成長の原動力となってきたいわゆる団塊の世代の人達、あるいは戦争で苦労された方達に対して、もう少し国として暖かい手をさしのべることはできないのでしょうか。

平成28年1月28日
病院長 藤原正博

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