大地震に備える

先日イタリア中部で大地震が発生、多数の死傷者が出て、避暑地として名高いアマトリーチェの街が崩壊しました。また同じ日にミャンマーでも地震があり、貴重な仏教遺跡に大きな被害が出たとのこと。
日本でもついこの間熊本で大きな地震が起きたばかりですし、東日本大震災の大惨事は今も目に焼きついています。
柏崎地域に限っても、中越地震、中越沖地震と短期間のうちに大きな地震が相次ぎました。この先動く可能性のある断層が近くにあり、三度(みたび)、大きな地震に見舞われることも否定できないと言われています。
さらに今後30年以内にマグニチュード8~9の南海トラフ巨大地震が60~70%の確率で起こると予測され、また2020年までに首都直下地震の起こる確率は100%という予測もあります。

地震大国日本では以前より地震発生予知の試みがなされてきましたが、残念ながら正確に予知できたものはないようです。
2016年6月に政府の地震調査研究推進本部より「全国地震動予測地図2016年版」が公表されました。それによると今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は、関東から四国にかけての太平洋側で高くなっています。特に千葉市と横浜市では80%を超えています。3%以上であれば確率が高いとされる中で、80%を超える確率というのは、「絶対起こる」と言い換えてもいいのではないでしょうか。
ただし確率が低いからといって安心はできません。この報告書の中でも触れられていますが、全国どこでも強い揺れに見舞われる可能性はあり、実際熊本市の確率は7.6%とやや低めでしたが、あのような大きな地震が起こりました。

大地震に見舞われる確率をどうとらえたらいいのでしょうか。
先にも述べたように、首都直下地震は2020年までに100%の確率で起こるとも言われ、全国地震動予測地図でも今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が東京都庁では47%、さいたま市では55%、そして横浜市では81%となっています。
これだけ高い確率でありながら、該当地域の人々の危機意識は乏しいように見えます。政府もこういう地震が起こったらこれだけの被害が出るという想定(たとえば震源地を都心南部とするマグニチュード7クラスの首都直下地震の場合、死者最大2万3千人、負傷者最大12万3千人)はしても、じゃあそれに備えてどういう対策をとるのか、また実際に地震に見舞われたその時にどうするのかという具体的な対応策については示そうとしません。起こるわけがないと考えているのか、あるいは起こったら起こったで仕方がない、天災には逆らえないと開き直っているのか…。何としてでも国民を守るというのが政府の役割のはずなのに…。

被害想定にしても、首都直下地震で死者が最大でも2万3千人というのは甘すぎるのではないでしょうか。地震が起こる時間帯にも依るでしょうが、人口密集地で高層ビルが林立、耐久性が不安視されている首都高速道路網、網の目のようにはりめぐらされた地下鉄路線、そして広大なゼロメートル地帯…、そんな地域を襲う激しい揺れ、そしてさらに津波が押し寄せるとしたら…。人口密度の低い地域で発生した東日本大震災の時でさえ2万人近い死者・行方不明者が出たのですから、首都圏であればその何倍、何十倍にもなるであろうことは、容易に想像がつきます。
直下地震の場合は津波は発生しないという想定なのでしょうか。
因みに南海トラフ巨大地震が起こった場合には大津波が襲うことは間違いなく、死者は33万人と想定されています。
これだけの被害が想定されるのなら、それをできる限り少なくするための手立てを講じるのが政府の仕事なのでは、と思うのですが、そのような動きは伝わって来ません。

政府が国民を守らないのであれば、私達は自衛できるところは自衛するしかありません。自分の命は自分で守る、ということでしょうか。とは言っても、できることは限られますが…。
災害時の対応をコンパクトにまとめた「災害時ハンディ便利帳」という小冊子が世界文化社から出版されました。一度目を通した上で手元に置いておくと役に立つのではないかと思います。

日本人は親方日の丸的なところがあって、何かあっても国がなんとかしてくれると思いがちですが、地震を初めとする自然災害については、国の支援は期待できません。今までもそうであったように、「想定外」の一言で済まされてしまうのがオチです。

2020年は東京オリンピックが開催される年です。それまでに首都直下地震が起こる確率が100%…、なんだかとても不気味な感じがします。もちろん予測が外れて起こらなければそれに越したことはありません。リオデジャネイロオリンピックの感動が覚めやらぬ中で、4年後に是非また感動を味わいたいと思ってはいるのですが…。

「全国地震動予測地図」によれば、柏崎地域の今後30年間の大地震の確率は6~26%です。かなり高いと言うべきでしょう。2回の大きな地震を経験した私達としては、3回目もあり得ると考えて、できる備えはしておかなければならないと思います。

平成28年9月8日
病院長 藤原正博

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