男女共同参画社会

内閣府による「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果が公表されました。
調査は今年の8月25日から9月11日の間に、全国の18歳以上の5,000人を対象として、調査員が個別に面接するという方法で行われ、3,059人(61.2%)から回答を得ています。

内容のいくつかをご紹介すると、社会全体における男女の地位の平等感については、男性の方が優遇されていると感じている人が74.2%、女性の方が優遇されていると感じている人が3.0%、平等という人が21.1%でした。
女性が職業を持つことについては、子どもができてもずっと仕事を続ける方がよいと答えた人が54.2%で、前回調査(平成26年)の44.8%を大きく上回りました。一方、女性は職業を持たない方がよいと答えた人も3.3%で、前回調査の2.2%を上回っています。
また子どもができたら仕事を辞め、子どもが大きくなったら再び仕事に就く方がよいと答えた人が26.3%、子どもができるまでは職業を持つ方がよいと答えた人が8.4%、結婚するまでは職業を持つ方がよいという人が4.7%という結果でした。
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に賛成の人は40.6%、反対の人は54.3%でした。男女別にみると、賛成と答えた人は男性44.7%、女性37.0%、反対と答えた人は男性49.4%、女性58.5%でした。
賛成とする理由は、「妻が家庭を守った方が、子どもの成長などにとって良いと思うから」が60.4%、「家事・育児・介護と両立しながら妻が働き続けることは大変だと思うから」が45.6%、「夫が外で働いた方が、多くの収入を得られると思うから」が32.9%でした。
反対とする理由は、「固定的な夫と妻の役割分担の意識を押し付けるべきではないから」が52.8%、「妻が働いて能力を発揮した方が、個人や社会にとって良いと思うから」が46.8%、「夫も妻も働いた方が、多くの収入が得られると思うから」が40.6%でした。
さらに結婚して姓が変わった場合、働くときに旧姓を通称として使いたいと思う人は、31.1%で、男性39.5%、女性23.9%でした。若い人ほど旧姓を使いたいという人が多く、18~29歳では40.5%でしたが、高齢者であっても60~69歳で27.7%が使いたいと回答しました。

この結果を皆さんはどう解釈、評価されるでしょうか。
「夫は外で仕事、妻は家庭」という考え方は日本社会に根強く残っていますが、時代とともに少しずつ変わって来ているのも確かです。
ただ夫婦共働きが単に収入増のためだとしたら、ちょっとな、という思いもあります。

医療職についてみてみると、医師はこれまでは圧倒的に男性が多かったのですが、最近は女性医師が増えています。大学の医学部も学生が男女半々というところもあるようです。
余談ですが、医学部学生時代の私のクラスは100余名中、16名が女性でした。皆さん優秀で、卒業式のときにクラストップの成績で卒業証書を代表して受け取ったのも女性でした。卒業後も皆さんそれぞれご活躍になっておられます。
看護師は逆に女性の職業という印象でしたが、最近は男性看護師が増えてきています。かつては女性は「看護婦」、男性は「看護士」と呼ばれましたが、今は「看護師」に統一されています。
結婚あるいは出産を機に辞めてしまう方もおられますが、多くの方々が仕事と家庭を両立させて頑張っています。
これ以外の医療職についても、かつては比較的女性の多い職種(薬剤師、臨床検査技師、栄養士など)、逆に男性の方が多い職種(臨床放射線技師など)に分かれていたのですが、最近は男女差がなくなりつつあります。

私は「男らしさ」「女らしさ」があるのは自然なことと考えていますが、仕事をする上では男だから、女だからということで差別する理由はないと思っています。重要なのはその人の能力です。もちろん体格面での違いはありますから、何でもかんでも男女一緒というわけにはいかないかもしれません。
また性格的な向き不向きもあると思います。職種によっては男性向きあるいは女性向きというのもあるかもしれません。それを全て否定して、何でもかんでも男女平等と叫ぶのもどうかな、と思います。
妊娠・出産は女性にしかできないことですから、女性「性」は大事にする必要があると思っています。
今後真の男女平等社会を築いていくために必要なのは、これまでの男性優位社会に対する認識を改めることだろうと思います。男であること、女であることをそれぞれが自覚した上で、お互いを尊重し、お互いに敬意を払うことが大切なのではないかと思います。

ただ私としては一つ気になることがあります。子どものいる夫婦が揃って仕事に出るとしたら、しかも今の社会では当たり前と思われている残業もこなして、朝早くから夜遅くまで働くとしたら、誰が子どもの面倒をみるのだろうかということです。今は核家族化していて、昔のようにおじいちゃん、おばあちゃんが孫の面倒をみることはできません。保育所を整備する必要がありますが、仮に保育所が整備されたとしても、親と一緒にいる時間は確実に減りますので、そのことが子どもの成長、特にこころの成長にどのような影響を及ぼすのか…。親が常に傍にいるということは、子どもにとっては大きな支えであり、大切なことなのではないかと思うのですが…
また保育所に預けられた子どもが熱を出したりして具合が悪くなったとき、親(父親? それとも母親?)はどう対応するのか…。仕事を抜けて子どもに付き添うことが可能なのか…。そのことを職場が快く許容してくれるのか…。

男女共同参画社会という構想は当然のことなのでしょうが(労働人口を増やしたいという政府の思惑が透けて見えるようです)、働き方が今と変わらない限り、そして社会全体でサポートしようとする体制が整わない限り、実現するのは難しいかな、という気がします。
また実際に働く世代のことだけではなく、将来を担う子どものことも考えた社会の在り方(子育てを個人任せにするのではなく、社会全体として責任を負う)を、みんなで考える必要があるのではないでしょうか。

 平成28年11月10日
病院長 藤原正博

カテゴリー: 院長の部屋