健康食品について

「目・肩・腰に○○○○○」「糖・脂肪の吸収をおだやかにする○○○」「脂肪を代謝する力を高め、体脂肪を減らすのを助ける○○○○○○」といったコマーシャルを、たぶん皆さんもテレビでご覧になったことがあるのではないでしょうか。これらの商品を実際に使用している方もいらっしゃるかもしれませんね。
数え切れないほど多くの「健康食品」が市販されており、ある調査によれば日本人の約3割が毎日何らかの「健康食品」を利用しているそうです。

健康食品は大きく二つに分かれます。一つは国が制度を創設して表示を許可しているもので、特別用途食品、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品の4種類があります。もう一つはそれ以外のもので、機能性食品、栄養補助食品、健康補助食品、栄養強化食品、栄養調整食品、サプリメントなどがあります。
特別用途食品というのは、乳児、妊産婦・授乳婦、病者など、医学・栄養学的な配慮が必要な対象者の発育や健康の保持・回復に適するという特別の用途の表示が許可された食品のこと。消費者庁の審査が必要です。
特定保健用食品(トクホ)は、健康の維持・増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、「コレステロールの吸収を抑える」などの表示が許可されている食品。「糖・脂肪の吸収をおだやかにする○○○」や「脂肪を代謝する力を高める○○○○○○」がそれに当たります。消費者庁の審査が必要で、許可マークがあります。
栄養機能食品は、一日に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)が不足しがちな場合、その補給・補完のために利用できる食品のこと。
機能性表示食品は、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品のことです。

日本では健康食品がブームですが、健康食品が本当に役に立つのかどうかは十分には検証されていません。普通に食事が摂れていれば、今の日本で少なくとも栄養が不足することなどはないと思うのですが、どうしても健康食品を使用したいというのであれば、ご自身の責任で使っていただくしかないと思います。ただし甘い言葉に惑わされないように、お気をつけ下さい。

健康食品を使用するにあたってご注意いただきたいことがあります。
健康食品やサプリメントはいくら食べても害はないし、薬と違って副作用もない、とお考えの方がいるかもしれませんが、けっしてそんなことはありません。たとえばビタミンEは過剰に摂取すると出血性脳卒中の発症率が高くなることが報告されています。一時注目されたβ-カロテンも、過剰に摂取すると肺がんの発症率が高くなることが知られています。
ビタミンには水に溶けるもの(B、C)と溶けないもの(A、D、E、K)がありますが、水に溶けないもの(脂溶性ビタミン)は過剰症をきたす可能性があります。ビタミンAが過剰になると、頭痛、吐き気、嘔吐、脱毛、発疹など、ビタミンDが過剰になると、食欲不振、口が渇く、血中のカルシウム濃度が高くなって腎臓などにカルシウムが沈着するなどの症状を来たします。
また健康食品に含まれている成分に対してアレルギーを起こすこともあり、注意が必要です。
中には医療機関から処方される薬と一緒に健康食品を摂取している方がいらっしゃるかもしれません。しかし種類によっては薬の効果に悪影響を及ぼすものがあります。有名なのはビタミンKがワルファリンという血を固まりにくくする薬の効果を減弱することでしょうか。ワルファリンは脳梗塞の予防のためなどに使われますが、よかれと思って飲んでいたビタミン剤や青汁が薬の効果を弱め、脳梗塞になってしまったのでは、元も子もありません。
医療機関にかかっている方は、健康食品を使っていることを、必ず担当医に伝えて下さい。

健康食品はけっして安いものではありません。使ってみてあなたが効果を実感できるのであれば、使い続けてもいいと思います。でもある程度使ってみて効果がない場合には、思い切って止める勇気を持つことも必要です。
効くか効かないかわからないものに大金を投じるよりも、バランスのとれた食生活や運動をすることの方が、ずっと役に立つと思うのですが…。

 平成29年2月9日
病院長 藤原正博

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