柏崎地域の医療を守りましょう

柏崎のシンボルであったホテル「岬ひとひら」が、今月いっぱいで閉館とのこと。病院としていろいろと利用させていただいただけに、とても寂しい思いでおります。
他にも明治饅頭で有名な美野屋さんも閉店、またラーメンの一翔、居酒屋安兵衛も閉店、ついこの前できたばかりと思っていた丸亀製麺も、いつの間にかなくなっていました。紳士服のはるやまも、だいぶ前に閉店しています。ボーリング場の建物も取り壊されてしまいました。
それぞれに事情はあるのでしょうが、結局は柏崎での商売が成り立たなくなったが故の店じまいということ、柏崎で生活する者としては残念というしかありません。

客商売の店は、お客さんが来なければ商売は成り立ちません。努力しないからつけが回ったんだ、自業自得、と冷めた目でご覧になる方もいらっしゃるかもしれませんが、自助努力だけではどうにもならない部分があることも事実です。
JR柏崎駅から海岸に延びる潮風ロードも、その道路脇の店はシャッターが下りているところが多く、えんま市や民謡流しが行われる通りも、イベント開催時以外は閑散としています。人が集まる街にするためにどうすればいいのか、個人的な利害を捨てて、住民みんなで、行政も交えて検討する必要があるのでは、と思います。

今回このような話をしたのは、病院だっていつまでも今までと同様に存続できる保証はないんですよ、ということを皆さんに申し上げたかったからです。
柏崎では当院を中心として各病院、各診療所が力を合わせて地域完結型の医療を提供しています。しかし国や県は、将来は柏崎地域を長岡地域にくっつけて、一つの医療圏とすることを模索しています(コラム122をご参照下さい)。
急性期医療は原則として長岡が担当するということになったら、当院の規模縮小は避けられず、皆さんが今まで通りに当院で治療を受けることが難しくなります。柏崎から長岡までは高速道路を利用すれば30~40分で行けます。ただし雪が降ったりするとそうもいきません。救急搬送に1時間以上かかることになると、助かる命も助からないという事態を招く可能性もあります。

今回の地域医療構想策定にあたって、柏崎地域は長岡地域とは別に地域完結型の医療を提供する必要があると認知されたのは、柏崎地域の医療の完結率が高いからです。
もし皆さんが柏崎市内ではなく、長岡地域の病院を受診して、当地域内の医療完結率が低下すると、国や県の柏崎地域の急性期病床を削減しようという思惑に、絶好の口実を与えることになるのです。

病院は利潤を追求する客商売とは異なりますが、皆さんが病院を利用していただかなければ、経営は成り立ちません。今は病院といえども、経営不振でつぶれることがあるのです。

閉店した店の一部は人手不足が原因という話も伝わってきておりますが、病院も人手不足は深刻です。現時点ではギリギリの状態でなんとかやっておりますが、医師も看護師も他の職種も、燃え尽き寸前です。今は彼らの医療職としての使命感がそれぞれを支えていますが、いつまでもつかは定かではありません。

病院を利用していただきたいと言いながら、スタッフが燃え尽き寸前だというのは、矛盾しているかもしれません。泣き言を言うなとお叱りを受けるかもしれません。でもこれが現実なのです。

市民の皆さんの医療に対する要望と期待は重々承知しております。しかし医療資源は限られており、その中で皆さんの期待に応えるのは至難の業と言っても過言ではありません。今の柏崎地域の医療を維持するためには、皆さんに医療の現状を理解していただき、上手に利用していただくしかありません。

この4月以降、柏崎市のご協力で各地域の皆さんと話をする機会をもつことができそうです。是非ご参加いただき、医療の現状と問題をご理解いただき、皆さんのお考えをお聞かせ下さい。皆さんと一緒に柏崎の医療を守っていきたいと考えております。

平成29年3月24日
病院長 藤原正博

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