医療保険の無駄遣い

ヒルドイドという塗り薬が話題になっています。

ヒルドイドの主成分はヘパリン類似物質であり、外傷などの炎症に伴う腫脹、血行障害、肥厚性瘢痕やケロイドなどに用いられる薬です。ソフト軟膏、クリーム、ローション、ゲルの4タイプがあります。
ヒルドイドは角質内の水分保持能力に優れていることから、皮脂欠乏症にも用いられます。さらにアトピー性皮膚炎に伴う乾皮症にも使われることがあります。

このヒルドイドの処方量が急激に増加しているそうです。それも本来の使用目的から外れた「美容クリーム」として使われているとのこと。保湿効果があるために「お肌しっとり」ということなのでしょうが、本当に役に立つのかどうかは別として、適応外使用であることは明らかです。

ヒルドイドは医薬品で、たとえば50グラム入りの軟膏やクリームは1,185円の価格ですが、保険が効きますので実際の自己負担額は350円程度です。塵も積もれば山となるで、50グラムが10万人に処方されれば8千万以上の保険からの持ち出しになります。
医療保険というのは、収入の少ない人であっても必要な医療がきちんと受けられるようにということでの互助制度ですから、不適切使用の薬代が保険で賄われるというのは許容できないことだと思います。
通常はこういう不適切使用をチェックするために支払基金や国保連合会といった審査機関があるのですが、なぜかすり抜けてしまったようです。もっともレセプトにヒルドイドが適応となる病名が記載されていれば、チェックをすり抜けるのも止むを得ないかもしれません。

厚生労働省の調査によれば、ヒルドイド25グラムチューブは通常は処方するにしてもせいぜい4本位なのに、1回50本以上処方されている例もあったそうです。そうなると、処方する医師の側にも問題がありそうです。

ヒルドイドを美容クリームとして使っている人は、医療機関で処方してもらえば安く手に入るとお考えなのでしょうが、そうすることが医療費高騰の原因の一部を担っているという自覚を持つべきでしょう。同効品が市販されているようですから、必要な人は自費で購入すればすむことです。

このようなことをきっかけに、厚労省の医療への締め付けが強くならなければいいが、と危惧しています。

 平成29年11月16日
病院長 藤原正博

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