オンライン診療

皆さんは「オンライン診療」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。
通常は医師と患者とが対面で話をし、医師は聴診器を当てたりお腹を触ったりして診察をし、必要なら検査を行い、患者の状態を判断するということになるのですが、オンライン診療ではパソコンやスマホなどの通信機器を介して医師が患者の診察をするということになります。診察とは言っても医師は画面を通して患者の表情を見ることぐらいしかできません。血圧を測ったり脈を触れたり、心音・呼吸音を聴いたり、お腹に何か異常がないかを確認することはできません。血圧については手元に自動血圧計を持っていれば、その測定値を画面を通して医師に見せれば事足りますが…。

オンライン診療は元々は離島や山間へき地など、患者が医療機関を受診することが難しい、あるいは医師の往診が困難な地域を対象として認められたものですが、3年ほど前に適応が拡大されました。病状の安定している患者であれば対面診療でなくオンライン診療でもOKということになったのです。国としては地方の医師不足に対応するためのいい方策と考えているのでしょう。この4月からは診療報酬上も手厚く評価されることになります。

でも…、と昔ながらの古い医者は考えます。ホントにそれでいいのかな…。

私は医療は「人と人」だと思っています。患者さんの訴えを聞き、時には世間話(実際にはなかなか時間がとれないことが多いのですが)をし、頸部を触って異常の有無をチェックし、聴診器を当て、お腹を触る、下腿にむくみがないかどうかを確認するといった一連の診察が、医師・患者関係を築くにはとても大事なことなのではないかと思うのです。

「手当て」という言葉があります。病気やけがに対する治療、処置を意味します。昔医療が十分な治療技術を持っていなかった時代、医師あるいは看護師が患者に手を触れることが、患者の安心感に繋がったとされています。医療にとってはとても大切な行為なのです。
でも最近は、パソコンばかり見ていて患者と目を合わせない医者がいるとか、ろくに診察もせずにすぐに検査をオーダーする医者がいるとか、いろいろ批判をされます。昔に比べると「手当て」の意義が薄れてきているのでしょう。時代が変わったのです。そうであればオンライン診療もこれからは当たり前となっていくのかもしれません。

人工知能やロボット技術が進歩して、いずれ病気の診断に関しては人間を上回ることになるでしょう。「病気」を診る分にはそれでいいのかもしれません。でも医師の本来の仕事というのは「病気を抱えた人を診ること」なのではないかと思うのですが…。
時流に乗れない高齢医師のボヤキでしょうか。

いずれにしても、今後の医療がどうなっていくのかは皆さん次第です。皆さんがどういう医療を受けたいとお考えなのか、それをしっかり意思表示することが、これからの医療の方向を決めることになります。

 平成30年3月8日
病院長 藤原正博

カテゴリー: 院長の部屋