人口減少問題を考える

「若者が減ると民主主義が崩壊する」「ネット通販が普及し、商品が届かなくなる」「高齢女性の万引きが、刑務所を介護施設にする」…、ええ~っ、いったい何のこと? と思いますよね。

どういうことかというと、現在選挙時の一つの投票所は概ね3,000人という基準があるそうで、人口減の地域では投票所の統廃合が進んでいるとのこと。将来さらに人口が減った場合には近くに投票所がなくなり、移動手段の限られる高齢者は投票所に行けなくなるかもしれない、貴重な一票を投じることができなくなるという事態が生じる、というわけです。
アマゾンなどネットで買い物をする人が増えていますが、その商品の配送が追い付かず、ヤマト運輸が受注を制限したというニュースは記憶に新しいと思います。今後ネット通販の需要はさらに伸びると思いますが、それの配送に従事する若年世代が減少することで、需要に追い付かない事態が予想されます。
最近高齢女性の犯罪者が増加しているそうです。一人暮らしで生活が苦しく、ついつい万引きなどに手を出してしまう、出所しても社会復帰できず、再び犯罪に手を染める、身体機能低下や認知症のため、刑務官がおむつ交換をしたり入浴介助をしたりする…、実際こういうことが起こっているそうです。

日本が超高齢社会であることは皆さんご存知だと思います。一方生まれてくる子どもの数は減るばかりです。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2015年には総人口1億2,710万人(65歳以上:3,387万人、15~64歳:7,728万人、14歳以下:1,595万人)であったものが、2040年には1億1,092万人(65歳以上3,921万人、15~64歳:5,978万人、14歳以下:1,194万人)に減少、さらに2065年には総人口が1億を下回って8,808万人(65歳以上:3.381万人、15~64歳:4,529万人、14歳以下:898万人)になるとのこと。
ここ暫くは65歳以上の高齢者は減らないのですが、それも団塊世代の人々の寿命が来るようになると一気に減少し始めます。そして余程のことがないと出生率は上がらず、若年人口は減るばかり。これが将来の日本の姿であり、それもそう遠くない将来なのです。

2040年までに全国の自治体の半数が消滅の危機にさらされるという将来推計を、日本創生会議の人口減少問題検討分科会が2014年に公表し、日本中が大騒ぎになりました。そんなバカな、と思われた方も大勢いらっしゃると思いますが、どうやら事実のようです。

なぜこのようなことになったのか、私にはそれを論じる能力はありませんので、皆さんに2冊の書籍をご紹介したいと思います。
一つは「未来の年表~人口減少日本でこれから起きること」(河合雅司 著、講談社現代新書、2017年)。お読みになった方もいらっしゃると思います。そしてもう一つは最近出版された続編の「未来の年表2~人口減少日本であなたに起きること」です。第一弾も衝撃的だったのですが、第二弾はさらに具体的に身の回りで起こることについての予測が述べられています。きちんとデータに基づいて記述されていますので、信憑性は高いと思われます。
ご一読をお勧めします。

人口減少の影響を具体的にイメージするために、平成26年に国土交通省が公表した「国土のグランドデザイン2050」に示された「サービス施設の立地する確率が50%及び80%となる自治体の人口規模」をご紹介します。立地する確率が50%というのは、存在し続けることがかなり難しく、潰れる可能性があるということを意味しますので、こちらの数字をお示しします。
百貨店(デパート)は27万5,000人、ショッピングセンターは7万7,500人、ペット・ペット用品小売業3万2,500人、男子服小売業9,500人、スターバックスコーヒー17万5,000人(えっ、、ホント?)、ハンバーガー店3万2,500人、映画館8万7,500人、カラオケボックス業1万7,500人、銀行6,500人、大学12万5,000人、学習塾5,500人、救命救急センター17万5,000人、救急告示病院1万7,500人、一般病院5,500人、有料老人ホーム4万2,500人、介護老人保健施設9,500人、法律事務所5万7,500人、等々。
柏崎市の現在の人口は約8万6,000人。スターバックスコーヒーや映画館がないのはなるほどと肯けます。市内にいくつかのショッピングモールがありますが、このまま人口が減り続ければ潰れるモールが出てくるかもしれません。大学が二つありますが、余程の経営努力をしなければ、存続が危ぶまれるということでしょうか。
さて、将来の柏崎の街はどうなるのでしょうか。

私も含めて今の高齢者は、ひょっとすると「自分達は大丈夫」と思うかもしれませんし、実際逃げ切れるかもしれません。でも子どもや孫の世代は? そう考えればけっして他人事ではないのです。
人口減少問題にもっときちんと目を向ける必要がありそうです。

 平成30年6月14日
病院長 藤原正博

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